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誰でもお気軽にコメントどうぞ。過去記事や微妙に趣旨ずれてても気にしない系のかりょです。
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なんかずっと積んでいたら、いつの間にか猫の寝どこになっていたので、そろそろ。

■丕緒の鳥(十二国記) 小野不由美 新潮文庫
ずっと待ってましたさ!
発売日に買いましたとも!

……でも、短編集のせいか、これまでのような爆発力はありませんでした。
伏線やどんでん返しもごく弱い感じで。
公式小説というより、十二国記設定を使った、それなりにいい腕の二次創作って感じでしたよ。
「名も無き男たち」という帯広告のとおり、これまでの登場人物はほぼ出て来ずに、無名の庶民にスポットを当てた物語なのですが、陽子や泰麒を始め、主要登場人物のこれからが気になる身としては、肩透かし感。
これまでの深い設定、独特のルビ振りなど、やはり大御所の実力は感じるのですが……うむむ。

ちょっと技法が違うのは3編めの「青条の蘭」。
語り手が次々に交代(主要人物ではなく、わき役へ)していくというのは、あまり見ない手法で、それ自体は面白かったです。
しかし、代わりに彼女の持ち味である心理描写が薄くなってしまって、それほど必要な手法だったのかなと疑問も。

まあ、十二国記ファンなら、本棚に並べておいてもいいんじゃないでしょうか。
ここから読み始めるのはおすすめしませんが。


■獣の奏者 探求編・完結編 上橋菜穂子 講談社文庫
小説って結構、作者の性別があらわれるのですが。
これはやっぱり女性の小説だな、と。
歴史小説、戦争小説としての重さと深さは、前の二作から変わらず。

そこにちらっと恋愛要素も今回入ってくるのですが……、エリンの夫の描写が入るタイミングがね!!!
酷いね!!!!!!
ひっぱってひっぱって……中盤まで明かされないとか!!!
これ、作者分かってやってる。絶対分かってやってますね。
気にならない人は気にならないかもしれませんが、エリンに女性として幸せな家庭を持ってほしいと願う読者視点では気になって仕方ないですね!!!!
上橋さん汚い、さすが汚い。

内容としては、前二作を補完し、王獣、闘蛇の謎を解明していく物語なのですが、そこに家族愛や戦争、過去の謎が絡んできて、良質なファンタジーを形成しています。
文句なしの名作です。


■たったひとつの冴えたやりかた ジェイムス・ティプトリー・ジュニア 早川書房
実は少し前の「SF邦題」に関係していたりします。
これもまた、名タイトルすぎて、よくパロったり、本歌取りされているタイトル。
このタイトルが「死亡フラグ」だということは知っていたのですが、実はまだ読んだことがありませんでした。
いい機会だ!と購入。

……うわぁぁぁん!!! 死亡フラグ全開じゃないですかああああ!!!

少女とエイリアンの出会いを主とした前半は、普通のいい話。
後半から、急に手法が変わって、
「全部終わってしまった後に、何が起こったのか」を解明していく話になるのですが……。

ちょろちょろ、と気になる伏線を入れていき、それが最後で収束していく手法は見事。
タイトルだけじゃなく、全体的にレベルの高い作品です。
邦題だけ知ってた!と言う人も、この機会に読んでみるといいかも。


■トリックスターズ 久住四季 電撃文庫
卑怯な小説でした。
魔法あり世界の現代ミステリで、トリックも物理から叙事まで様々。
伏線は割と「推理させてくれる」感じで、見つけたぁ!感がイイです。
……でも、最後の謎、あれだけは卑怯だ! んなもん分かるかぁぁぁ!!!

ただ、読み終わってから確認すると、イラストとかちょいちょいとヒントになりそうな部分はありました。
そんな感じで卑怯ですが、まあまあ面白かったです。
全六巻らしいので、続きも買おうかな。


■騎篠エリと緋色の迷宮 秋月大河 電撃文庫
これも魔法あり世界の現代ミステリ……と言えるのかな。
これ必要なのか?という趣味全開の描写は、作者あとがき(というか登場人物の対談)の探偵好きCOでなんとなく理解。
平凡な一般人が、寄生されて特殊能力に目覚めて……という設定は割と良くある感じで、全体的に「割とよくある」から抜け出しきれなかった感じでした。
イラストはとても可愛いです。ロングへア&ホットパンツのお姉さんいいよね!!
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面白くなかった作品から、ということで(・・*)


■れでぃ×ばと! 上月司 電撃文庫
あらすじ:お嬢様学校に新設された学科「従育科」。そこは「執事」と「メイド」を育てる学校であった。
外見は超不良の主人公は、執事に憧れて転入するも、お嬢様になった幼馴染と再会し……。

前々からタイトルが気になってたので、手に取ったのですが、表紙がどう見ても履いてない女の子で嫌な予感がした。
なんか、表紙が無理やりエロに走ってる小説は、「そうでもしないと売れない小説」の気がします。
……はい、正解。
文章はけして下手ではないのですが、無理やりなサービスシーン、魅力ない登場人物、無理のある設定で、全体的にイマイチ。
三話構成でしたが、話が三話にする必要性が全然感じられないので、おそらくどこかに連載されていたものをまとめた物ではないかと思います。
あ、謎のタイトルの正体は、「レディ(お嬢様)」×「バトラー(執事)」という意味でした。


■お留守バンシー 小河正岳 電撃文庫
あらすじ:19世紀中頃。闇の眷族達に、かつてのような栄華はすでにない。
ここにも、聖騎士に追われ城を逃げ出す吸血鬼の城主がひとり。お留守番を任されたのは配下のバンシーで……。

第十二回電撃小説大賞受賞作。
……でも、えーこれで受賞できるんだ、という印象でした。
同賞受賞のクリス・クロスやブギーポップが出て来た時は、なんていう文庫が成立してしまったんだと思ったものですが、この回は不作だったのでしょうか……。
にしても、不作だったら「受賞作品なし」にすればいいと思うので、やっぱりハードル下がってる気がします。

キャラクターは魅力的で、ひとりひとり立っています。
が、いかんせん話に面白みがありません。伏線もショボく、「あ、はい」と言う感じで。
ただ、読後感は悪くなかったです。


■そして、誰もが嘘をつく 水鏡希人 電撃文庫
あらすじ:巨大な豪華飛行客船は、これから処女航海を迎える。
ところが、乗り合わせた人たちは誰もが一物抱えた奇妙な客ばかり。主人公もまた……。

タイトル買いでしたが、タイトルだけでした。
「全員に嘘をつかせよう」というあとがきで、割と無理なアレコレは納得出来たんですが、あとがき読まなきゃ分からないそのコンセプトってどうなんでしょう。
いや、ある意味タイトルで出てますが、ますが。
科学技術と魔法の入り混じる不思議な世界観は読みごたえあるものの、説明不足感がひしひしとしました。
仕込みや伏線もだいたい予想がついて、そこまでして伏せるものでもない面倒なだけの物語に。
無意味な視点転換も話を分かりやすくするというより、返って混乱しているような。

ですが最もつまらなかったのは、「作者の別の作品からの人物登場」ですね。
なんの伏線だろうと思って一応は覚えていたら、なんの伏線でもなく、ただサービスとして出ただけだという。
この手法がいつもつまらない訳じゃありません。サービス登場が嬉しい場合もあるのですが、この話ではただの邪魔でした。
たとえば、宮崎アニメなんて、ちょこっと他の作品の人物が出ているのを探すのが楽しいですよね。
何の違いかな、と思ったらやっぱり「別の作品」の知名度の問題かなと。知名度高い作品でしたら、同じ作家の登場人物であるかないかに限らず、そういうコラボは嬉しいですし。

ただ、嘘が嫌いな侯爵夫人が一つだけついた嘘のエピソードは好き。そこのおかげで、とっちらかった物語がなんとかまとまった感じがします。


■想刻のペンデュラム 鳥生浩司 電撃文庫

ごめん、あらすじ書いたんですが、消しちゃいました。中二すぎて。
かっこいい中二病を目指して、普通の中二病に落ちついた感じの小説でした。
カテゴリとしては、先祖の血脈が甦った系。
妹、巫女の幼馴染、男前女子の同級生、天使、超能力バトル、主人公の肩にかかる世界の命運。
だいたいそういうのを詰め込んで、展開早い、都合いい感じに仕上げたような。
新人の方だということですが、あとがきまで全力でした。たぶんこれは、5年後に読んだら恥ずかしくなる……と思って見たら、平成17年初版でした。
ぐぐってみたら四巻まで出ている……だと……。
買いませんが。


■ペイン・キャプチャー 渡辺狛 電撃文庫
あらすじ:少し未来。世界大戦で使われたウィルスのせいで、特殊な能力に目覚める人間が現れ始めた。
「痛覚を共有する」能力者である主人公は、その能力を使って、能力を持った犯罪者を追う。

「痛覚共有」という能力なのに、戦闘が「殴る」という、ダメすぎる設定が面白く、また短編形式なので、サクサク読めました。
捻りや展開に物足りなさがあるのと、結局最終的には全部殴って解決するので、まあ「おやつ」にはなれてもメインディッシュにはなれない感じで。
最後の最後の超展開は、一切伏線なしの突然過ぎて逆に笑いました。
イラストは可愛いので、好みならどうぞ。
最近、作品鑑賞日記となりつつある今日このごろ、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
私は寝不足です。自業自得ですね、はい。

というわけで。
レンタルDVDの中の人の機嫌で、ずっと今までお預けだったギルクラ最終巻がやってきましたー。
supercellの歌はやっぱりいいですね。歌詞も曲も。

あらすじは……、すでに前半とか曖昧になってますが、ざざっと。

少しだけ未来。
「ラストクリスマス」に起こった、謎の奇病の蔓延により、GHQによって封鎖された日本。
次第に肉体が結晶化していくという奇病に怯えながらも、日常を過ごす日本人達。
人づきあいも自分の感情を表現することも苦手な高校生、桜間集(おうま しゅう)は、死んだような日々を送っていた。
その彼の運命は、怪我を負って逃げる少女と出会ったことで動き始める。彼女はウェブミュージシャン「EGOIST」のボーカル楪いのり(ゆずりは いのり)。

いのりが持って逃げていた物を、訳も分からず受け取る集。
それは、人の心を取りだし武器として扱う「ヴォイド」の能力だった。
いのりは、レジスタンス「葬儀社」のメンバー。そのヴォイドは、リーダーの涯が得るはずのものだったと言う。

「ボーイミーツガール」という王道ストーリーでありながら、
「封鎖された日本」という絶望的な環境。
「キャラクターと、その心が作りだす武器」という人物の作り込み。
そこに、「奇病が生まれた理由」と、「特殊能力を得たただの高校生の歪み」が絡んできて……、

と言う感じで。
物語としては面白かったです。
絵もきれいだし、ぬるぬる動くしで、見て損する作品ではないかと。
ヴォイドのデザインなども、武器というより装飾品のような感じで、美しかった。衣服関係……とくにいのりのはものすっごい構造が謎というか、アレな感じですが、見て格好いいのは確か。
登場人物のすれ違いや、ちょっとした「うまくいかなさ」がもどかしくって、切なかったです。
都合のいい「正解」がどこにもなくて、手探りで体当たりで不器用な人々は、どこか悲しい。

この先の感想はネタバレ含みますので、続きに収納。

***********
上橋菜穂子作 講談社文庫 

「獣の奏者エリン」というアニメを途中の一話だけ見たことがあり、それがまたけもけももふもふの回かつ、NHKなのに大人っぽい話だなあと印象に残っていました。
なので、原作をガレージセールで見かけて、微妙に題名が違ったものの、これが原作だとピンときました。講談社文庫からアニメ化ってなんだか珍しいなーと思いつつ、即購入。

……うん、これは面白い!!
深夜までかかって2冊読み切ってしまいました。
本編の面白さに比べて、巻末にはびっくりするほどつまらない解説がついていたのですが、ただ、この解説者にはひとつだけ誉められることがありまして。どうでもいい横道と読了した人には分かり切ってる、数ページにわたる感想文を排除して1文にまとめると、この作品の面白さをよく表現してると思います。

つまり、
「天使も魔法も出てこない大人のファンタジー」
小野さんの十二国記もファンタジーとしては異色ですが、これもまた違った方向で異色です。
リアリティと生々しさが、ノンフィクションばりです。中でも特に幻想動物が素晴らしい。もふもふけもけもしてて、けも好きにはたまりません。
文章も巧い。
物語の最初は、夜の明けきらない朝まだきに、「母」のたてる音で主人公が目を覚ますシーンから始まるのですが、包み込まれるような雨の音、「母」のにおい、そういったものが一気に襲いかかってきます。
これはすごい。

~~ざっくりあらすじ~~
闘蛇という戦闘用の動物を育てる村で、生まれ育った10歳の少女エリン。
だが、彼女の母親は、村の外から来た異邦人だった。まだ完全に理解できないような疎外感を感じながらも平和に過ごしていた彼女だったが……。
ある日、母親は、その闘蛇を大量死させた罪を問われてしまう。
母親を救わねば。10歳の悲痛な決意は、しかし、大人の権力、そして、絶対的な闘蛇の前に無力だった。
~~~~

見所は、理解不能な獣が、神聖でなくなっていくその過程。
そして闘蛇の圧倒的な存在感と、その天敵である王獣のもふもふ感。
複数の登場人物の運命が、ひと所に寄りあわされるドラマ。
霧の民<アーリョ>の使命と国の歴史が動く瞬間。

少女の成長物語、動物もの、歴史ものが組み合わさった良質な小説でした。
御馳走様です。

……そして、繰り返しますが巻末の解説が本当につまらな(ry
ドジだけど、明るくて正義感の強い少女・響。
ある日彼女が行ったライブ会場は、「ノイズ」という化け物に襲われる。
絶体絶命の危機を、ライブの主役「ツヴァイウィング」の奏と翼によって救われるが、
奏は響を助けるため自爆技である「絶唱」を使用して命を落としてしまう。
後日、響は奏からギア「ガングニル」を受け継いでいることが判明。戦いに身を投じていく。

……という、割りと王道なアニメでした。
以下、ネタバレがありますので、折り畳みで。

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