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イスカリオテⅠ~Ⅶ 三田誠・著 岸和田ロビン・絵 電撃文庫


面白かったですよ。
半身浴のお供に、一気読みしちゃいました。

タイトル買いなんですが、実は後から、この作者あんまり好きじゃなかったことに気付きまして。
レンタルマギカの作者さんなんですね。
レンタル~は1巻だけ読んだんですが、支持されてるほど面白いとは思えなくて、そのままでした。

が、これは1巻読んで続きが気になったので、ブックオフで残りも入手。
最初は低速だったんですが、3~4巻あたりから一気にきましたね。
6巻で最終決戦と見せかけて、7巻で真の完結編という構図はずるい(笑) 途中でやめられないですね。

物語の根幹は、タイトル通りのイスカリオテ=過去の聖人の奇跡を再現するための衣服で、
もうこの設定一本を最後まで貫くのがお見事。
その設定も、表から使って裏から使って、裏返したのを更に別の裏返し方をして、縫い目ほどいてまた使うという気合いの入れよう。
ほんとこの作品のタイトルは「イスカリオテ」以外ありえないでしょう。
よくこの設定を描き抜いたと思います。

ちなみに、
現実の某救世主教(名前こそは出てこないものの、ほぼそのもの)については、
私は、その主義には納得できなくて、あまり好きじゃなかったりします。
確かに功も大きいんだろうけど、罪も大きいと思うので。
ただ、それを題材にしての芸術作品は大好物すぎて、自分の中で複雑です。
宗教画も宗教音楽も宗教建築も堪りません。
そんな立場の私には、いい感じに崩してるこの作品は読みやすかったですよ。

作者の文章表現的にはちょいちょい気になるところがあって、
「まさか~ではなかったのか?」
等々、読者の代弁のような神の視点のような謎の解説文とか、苦手でした。
軽快な全体のなかに、たまに借りて来たみたいな無駄に重厚な文章が入ってきて、なんだこれ、菊池秀行っぽと思っていました。
とはいえ、そうそう他の作者っぽとか言うの良くないよね、自分の知識の狭さを露呈するだけで恥ずかしいよね、と思っていたら、
あとがきの最後の最後に、「菊池秀行を読みながら~」と書いてあって芝不可避でした。
正解でしたよ! というか、プロなら影響されないで下さいよ! いや、目指したいところが分かるのでいいけど。

ただ、章前に一番重要な伏線を持ってくる基本はしっかりしていますし、物語としてもどんでん返しに続くどんでん返しは巧いですね。
しかも、一個の謎を引っ張らず、サクサク開示してしまう。
おっしゃ、この設定、推理出来た! さあどこまで伏せて引っ張る気かな……
と思ったら、想像以上にさらりと説明されてしまって、これで一冊書けるよ?!と衝撃うけちゃいます。
というか、これは1巻1話と見せかけて、7巻で1つの物語なんでしょうね。
通して読むのがいいシリーズ。

異能を使った迫力のバトルシーンも良かった。
素人がどれだけ運か良かろうと、プロには勝てない残酷さ、
そのプロでも天才に勝てない苦悩。
そのあたりの葛藤もバトル物として美しい。

「7つの大罪」という敵は、もう使いつくされてるし、こちらも見飽きてるんですが、
ただの名前だけじゃなくて、深く掘り下げられてあったのも良かったですね。
そして、大罪を敵として設定しておきながら、それをぶち壊す思い切りの良さね。

伏せ字、伏せ文章についてはどうなのかな。
いいのか悪いのか、判断に迷いました。
「そこであることを提案した~云々」とか、「実は──なのですと言った」、とか。
だいたいどんな物語でも一回は出てくるだろう伏線ですが、この作品ではこれが頻発する。
必要なのは分かる。全部隠すのではなく、一部を隠してほぼ見せるのは伏線の位置が分かりやすくて、助かるといえば助かる。
あと、さっきも書きましたがあまり引っ張らずに明かすのもストレス溜まる程ではない。
でも、やっぱりどうしてもひっかかるんですよねえ。

人物については、もう少し掘り下げられたんじゃないかなと思います。
男性キャラの強さと弱さの作り込みに対して、女性キャラが薄いですね。
世界を巻き込んだ戦いという設定にしては、登場人物も少なすぎます。……ここは、あとから後方支援のサブキャラについても光が当たっていって多少の改善が見られましたが。
あとは、機械人間萌えとしては、ノウェムは人間臭すぎますね。
そこまで人間臭く出来るなら、機械の不器用さからくる発言の文章構成ミスっていう設定もどうにか出来るように思うんですが。……可愛いからいいですけど。

イラストの岸和田ロビン氏はうまいですね。
ちょっと他では聞いたことのない名前なんですが、構図の独特さや表情、服のしわなんか好きです。
文章内では「なんということない修道服だ」「白いイスカリオテだ」という程度の説明しかないんですが、いい感じに中二カッコイイです。
ただ、イラストの使い回しと、カラー口絵でラフ画を載せちゃうセンスは理解できません。
特にカラー口絵でラフ画ね! 斬新すぎるですよ。ダメな方に。
最終巻の口絵は、一枚は描きおろしですが、その裏はこっそり、すでに使った白黒画を二色刷りに直しただけ。手抜きすぎです。
よほど忙しくて描きおろせなかったんでしょうか。どんなイラストレーターですか。

個人的には、結構映像向けの作品と思いますね。
レンタルマギカに続いてこっちもアニメ化すればいいのにな。
二次創作の元になりそうな男性陣も揃ってますし(ぁ
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